FX耳寄り情報〜米国金融規制改革法案〜

「米国金融規制改革法案」

今回は「米国金融規制改革法案」について説明しましょう。
今月末のG20首脳会合(カナダ・トロント)前にオバマ大統領が署名すると思っておりましたが、どうもそうではないようですね。
今月8日に実施された米国中間選挙の予備選で金融規制派のブランシュ・リンカーン上院議員アーカンソー州選出が勝利しました。
同氏が決選投票の上、秋の中間選挙での民主党指名を獲得したことは、多くのウォール・ストリートの関係者から見れば、明らか逆進的な規制導入を進めることになると警戒されています。
現在、米国では下院と上院でそれぞれ通過した金融規制改革法案の付け合わせが行なわれています。

 

今月7日から上院と下院の規制案を一本化する委員会が開催されており、ここでの一本化作業が法案として、独立記念日の7月4日にオバマ米大統領に提出される予定。
大統領がこの一本化された法案に署名するのはほぼ確実視されており、金融規制改革法案の実施は確定的とみられています。

 

焦点は、

 

「商業銀行による自己勘定取引の禁止」
「商業銀行によるヘッジファンドなどリスク資産への投資の禁止」
「商業銀行の負債規模の上限設定」

 

の3本柱で構成される「ボルカー・ルール」が含まれるかどうかです。
上院案ではこの「ボルカー・ルール」が含まれて(規制を緩和方向性で検討中の様子)いますが、下院案では含まれてません。
下院で金融規制改革法案が通過したのは昨年12月で、「ボルカー・ルール」の公表された今年1月より前でした。
上院と下院の「共通法案」でこの「ボルカー・ルール」が含まれるかどうかで、今後数年間の米金融機関の収益源に多大なダメージを与える可能性があります。
万が一、厳しい内容で「商業銀行による自己勘定取引の禁止」が含まれる金融規制改革法案が通過した場合、純利益におけるトレーディング勘定の寄与度が高いゴールドマン・サックスに多大な影響が出ることが予想されます。
今週8日の米国市場では米金融株が軒並み下落しました。

 

 

米上院本会議は20日夜(日本時間21日午前)、1930年代以来の抜本的な金融規制改革法案を賛成59、反対39で可決しました。
上院本会議での最終採決に至る土壇場の駆け引きで、論議の的となっていた2つの修正案が廃案となっています。

 

1.銀行がリスクの高い取引を行うこと規制する「ボルカー・ルール」の厳格化を求める案
2.新設される消費者保護機関の監督対象から、ユーザー向けローンを自前で提供していない自動車ディーラーを除外する案。

 

共和党が自動車ディーラーに関する修正案を取り下げることにより、ボルカー・ルールの厳格化に関する修正案の投票が行われないようにした模様です。
この上院での可決により、同法案は昨年12月に下院で承認された法案との両院協議会でのすり合わせ終了後、オバマ大統領の署名を経て法律として発効されます。
来月発効になるとみられています。
もちろん、拒否権は発動する可能性もなきにしもあらず(ボルカー・ルールが除外されたので)ですので、その場合は市場の波乱要因ともなりえます。
今のところ、本法案が上院で可決されたのを受けて、米株式指数先物(米国でいう夜間取引)は上昇に転じています。

 

金融制度改革法案は米証券大手リーマン・ブラザーズの経営破綻をきっかけに、世界大恐慌以来最も深刻な経済危機が発生したことから、オバマ米大統領が2009年9月14日、危機の震源地となったウォール街で金融規制改革の演説を始めたのが始まり。
当時、米政府は8,000億ドルにも上る金融支援策実施、明確な救済ルールもないまま大規模な救済措置に税金投入したことによる世論の批判をかわす意味でも、医療制度改革に次ぐオバマ政権の改革の柱となりました。

 

全1500ページを超えるこの法案の主要な骨子は以下の通りです。

 

・消費者保護の強化
・金融安定化委員会の創設
・納税者による救済の終結と、「大きすぎて潰せない」慣行の終結
・役員報酬の制限
・投資家保護
・デリバティブ規制
・略奪的なモーゲージ貸付慣行を違法行為として規制
・ヘッジファンドの登録義務
・保険局の創設

 

今週火曜日のEU財務相理事会ではヘッジファンド規制が採択されましたし、金融課税についても検討しています。
6月4−5日に韓国で開催されるG20、あるいは6月後半の首脳会議でどの様な展開となるかは注目です。
それまでにオバマ大統領が金融規制改革法案に署名しているのであれば、各国の流れがさらに強まるものと思われます。

オシレーターのシグナルはトレンドの転換にあらず

南欧の債務問題が東欧にも波及しそうになり、ユーロ/ドルは2006年3月上旬以来となる1.20ドルを割り込みました。
ハンガリーの財政削減策や中国による支援の期待などからひとまず下げ渋っています。
購買力平価からもユーロの1.20ドル前後は居心地がよさそうですが、果たしてここから回復していけるのでしょうか。

 

先週はオシレーターの代表格ストキャスティックスを取り上げました。
これまでにサイコロジカルライン、RSIも取り上げてきました。
オシレーターが相場の「買われ過ぎ」や「売られ過ぎ」を売買のポイントとしてシグナルを発することから、オシレーターのシグナルでトレンドが転換したように見えます。
しかしながら、オシレーターは一定期間の中の相場の過熱感をみるものであり、極短期的なトレンド転換の判断としてはともかく、長期的なトレンド転換の判断に用いるにはリスクが高いと
いえます。先週の課題の解答はこれにあたります。
すなわち、オシレーターの最大の弱点はオシレーターのシグナルの寿命はそれほど長くないということです。

 

価格は「売りたい人」と「買いたい人」によって決まります。
このため、相場は人間が作っている(最近は人工知能なども相場形成の一翼を担う場合がありますが)といっても過言ではありません。
相場では、群集心理や大衆心理が相場の過熱感を演出することから、短期的には「行き過ぎ」につながりやすくなります。
ただし、こうした「行き過ぎ」は修正されやすく、修正は短期間で終わることが多いのです。
また、修正が起こらないケースもあります。トレンドが強く出ているときにオシレーターが「上位張り付き」や「下位張り付き」となるのは正に修正されない状態です。

 

オシレーターでも長い期間や週足、月足などを使えば、長期間有効なシグナルを得ることもできますが、オシレーターの特徴を上手に利用するには短期の振幅を狙う手法と心得て、トレンド転換の判断とはしないようにしましょう。